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月形神社|荒波を止めた金色の兎と月の神

安来市荒島町に鎮座する月形神社。出雲地方でも珍しいツクヨミを祀る神社です。この神社のご由緒にはとてもメルヘンな神話が語り継がれているのです。早速ご紹介していきますね。

月形神社の御祭神

月読命つくよみのみこと

配祀神:下照日女命したてるひめのみこと・天真婦津ふつ命・級長津彦命しなつひこのみこと級長津姫命しなつひめのみこと

ツクヨミといえばイザナギから生まれた三貴子さんきしのうちの一柱。御兄弟にはアマテラスとスサノオがいらっしゃいます。古事記の中でも登場後すぐに姿を消し、以後全く登場しません。

出雲地方でもツクヨミを主祭神として祀る神社は数少なく、日本の夜を守るとまで銘打った日御碕神社でさえ主祭神はアマテラスという謎。

月形神社のご由緒

享保五年(1720)の荒島八幡宮社伝記によれば、このあたりを荒島あらしまと呼ぶ訳を「中海なかうみが荒れて田畑民家を壊してしまう為、住民は不安を抱えていた」と伝えています。

ある日、海岸近くの兎山に金色に輝くウサギが現れ、こうお告げをします。
「日と月の神様をお祀りすれば、荒波が静まり人々は安全に暮らせるでしょう」そこで住民たちは、日形大明神(天照大神)、月向山形大明神(月読尊)をお祀りしました。するとたちまち荒波は治まり、平和に暮らせるようになったという。

享保五年(1720)荒島八幡宮社伝記

兎山とは現在でも中海沿岸にあります。ここで金色の兎が登場したのです。ツクヨミを祀る月形神社は現存しているものの、アマテラスを祀る日形神社なるものは見つけることができませんでした。

荒島の地は荒波が強く、たびたび津波の被害にあっていたというのは、弓ヶ浜半島が砂の堆積によって形成されていく前の時代にあって、荒島の地は直接日本海の荒波にさらされていたということを表しているのでしょう。荒島の地にも砂が堆積して土地が形成されていくなか、人々が不安に思いながらも一心にツクヨミとアマテラスに祈ったというのも、信仰の篤さが伺えます。

社殿はやや北西を向いているのですが、その先には月の神と思われるツクヅミを祀る爾佐神社、その先には隠岐の島が浮かびます。昔の人は月の明かりを頼りに船を出したのでしょう。隠岐に向かうルートに月の神が祀られるのも自然な気がします。

月形神社の境内

御本殿

御本殿に見える春日造の社殿は拝殿で、御神体は裏に鎮座する巨石なのだとか。

千木は女千木、御神紋は丸、方角は北西を向いています。

拝殿裏は大きな巨石になっていますね。

独特な造形となっている巨石。これは人の手によるものか、自然が織りなすものか定かでありません。一説には月の形をしているとか。上空から見るとどうなんでしょうね。

御神体の巨石には階段で上がっていけます。

頂上には祠があります。何も書かれていないため、どういう意味を持っているかは不明ですが、こちらが本当の御本殿?

金山彦神社?

須佐之雄命

神国島根に摂社名は見えるものの、境内のどれを指すのかは不明のため「?」マークをつけておきます。

大国恵比須神社?

大国主命事代主命

神国島根に摂社名は見えるものの、境内のどれを指すのかは不明のため「?」マークをつけておきます。

荒神さん

月形神社へのアクセス

JR山陰本線 荒島駅から徒歩13分。自動車でお越しの場合は駐車場と書かれた場所が無いのですが、

隣に消防車庫があり、一時停車できる程度の空間があります。ただし神社前は車通りも少なく、路上駐車でも大丈夫そうです。

まとめ

日本海の荒波に困った村人に突然現れた金色の兎。兎のお告げの通りにアマテラスとツクヨミを祀ると、荒波は静まったという。このファンタジーが意味するところは、弓ヶ浜半島に砂が堆積して中海が出来上がっていく歴史を表していそうです。現代ではアマテラスを祀っていたとされる日形神社は無くなっているようで、この神話を伝えるのは月形神社だけとなりました。また、ツクヨミが祀られている場所を地図上にプロットしてくと、かつての海運ルートが見えてくるのかもしれません。この謎も追いかけていきたいです。

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