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多伎藝神社|海から上陸した神?花馬神事に隠された謎~シリーズアダカヤヌシ2~

阿太加夜主(アダカヤヌシ)の正体を追いかける旅の続編2

前回の記事をご覧になっていない方はこちらをご参照ください。阿太加夜神社にお祀りされている阿太加夜奴志多岐喜比売あだかやぬしたききひめとはどんな神様なのか?前回までの調査によって大国主命の娘であることは分かりました。

次なる手がかりを求めてたどり着いた神社、それが今回ご紹介する多伎藝神社たききじんじゃなのです。

 

 多伎藝神社の御由緒

出雲風土記に記載された多伎枳社多支々社があり、どちらもこの多伎藝神社の境内に合祀されたと見えます。

以前参拝した多伎神社は、出雲風土記によると多吉社に比定されています。いずれもタキという音を持っています。

拝殿の額には雷大明神とあり、地元の方からは雷除けの神様として祀られているようです。

 

多伎藝神社の御祭神

本殿

多伎々比賣命たききひめのみこと

伊弉那伎尊いざなぎのみこと

大迦牟須美命おおかむづみのみこと

 

摂社 多伎支神社

多伎吉比賣命たききひめのみこと

 

御祭神の謎

大迦牟須美命おおかむづみのみこととはイザナギが黄泉の国へ亡くなった妻に会いに行った際に誕生した神様です。黄泉の国で変わり果てた姿になった妻イザナミを見て驚いたイザナギは、恐ろしい雷神に追われるととなります。

手近にあったものを色々と投げつけながら逃げ、黄泉の国の脱出を試みたイザナギ。ついに黄泉の国の出口に差し掛かった際、最後に投げつけたのが黄泉の国の出口に生えていた桃の実だったと言われています。

その雷神を退散させた功績をたたえ、イザナギが桃の実に贈った名前がオオカムズミだったのです。つまり桃を神格化した神様。

この黄泉の国神話に基づいた御祭神がイザナギとオオカムズミ。だから雷除けの神様をお祀りし、拝殿には雷大明神と掲げられたのでしょう。

社伝による御祭神と、江戸時代に編纂された雲陽誌に見える御祭神に食い違いがあり、元々はどなたが主祭神なのかが見えにくくなっています。神社のお名前ががタキである以上、タキキヒメが主祭神であるとは思うのですが・・・

 

花馬神事はなんばしんじ

毎年10月19日に行われる華やかな神事。大きな花の形をした山車だしを担いで頭屋とうやから神社までを練り歩きます。

頭屋というのは祭りの主催者のお屋敷の事。湊浜屋敷みなとはまやしきという25軒が代々このお役目を交代で担当してきたとのこと。

 

花馬神事の流れ

9月末 頭屋の家の前に一対の榊が立てられる。

10月1日 頭屋宅で神主が海から神を迎える神事を行う。

10月19日 神主が頭屋宅に来て、神が宿る床の間の御幣を神社へお迎えする。

 

この頭屋宅から神社に運ばれる御幣も、昔は花飾りにして運んだのだとか。これが花馬の原形なのでしょう。現代では大きな花飾りを着けた台車が町内から神社へ向かって巡行するお祭りになっています。

 

花馬神事から見える神の正体

この海から神様を迎えるという所作は、古来からの言い伝えに由来しているそうです。

多伎吉姫が大国主命の命により田儀浦に上陸したと伝えられているのです。なんとタキキヒメはこの田儀浦から上陸してきた。そしてそれは大国主命の指示によって渡来してきたという事になります。そして丁重におもてなしをうけたのでしょうか。。

多伎藝神社の御本殿は北西308°を向いており、ちょうど田儀浦漁港を向いています。この場所には恵比須神社もあります。タキキヒメが上陸した港を指しているのでしょうか・・・

 

多伎藝神社の御本殿

港の方を向いて鎮座する御本殿。タキキヒメとは一体どんな神様なのか?千木は出雲系の男千木であり、御神紋は出雲大社と同じ二重亀甲に剣花菱。やはり大国主命と関係の深い神様なのでしょう。

 

多伎藝神社その他の摂社

金刀比羅神社・清武神社

 

 

巳乃神

 

 

大山神社・八重山神社

 

 

サイノカミ?

 

 

まとめ

結局のところ、阿太加夜主の正体に迫ることはできませんでした。しかし、阿太加夜主は海から上陸してきたという意味深な情報を獲得。タキからアダカヤへ来たのではなく、アダカヤからタキへ来たという説もあり得るかもしれません。。引き続き足跡を追って調査してみたいと思います。

 

最後まで読んでくださってありがとうございます!

皆様に素敵なご縁が結ばれますように!

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