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熊野大社|もうひとつの出雲国一之宮に祀られた熊野大神とは?

熊野大社

出雲大社から東へ60kmにある熊野大社。なんとこちらも出雲国一之宮なのです。

つまり出雲には一之宮が二つ存在しているのです!

この神社には出雲大社との関係性を示す大事な神事があるのですが。。

詳しくご説明していきましょう!

熊野大社のご祭神とご由緒

加夫呂伎熊野大神櫛御気野命

かぶろぎくまののおおかみくしみけぬのみこと

 

現在のところ、この神様は須佐之男命であると解釈されていますが、いつからそう解釈されるようになったのかは分かっていません。

「かぶろぎ」とは男神という意味ですから、熊野大神という男神であることが分かります。

「くし」とは「奇し」や「霊し」とも通じ、神様の力の強さを示しています。

「みけ」とは「御食」に通じ、すなわち食料や五穀豊穣のご神徳があることを匂わせています。

つまり熊野大神とは民の命を支えてくださる偉大な男神であることが分かります。

この神様は古事記ができるずっと前から、出雲大社ができるずっと前から、国譲りのずっと前から信仰されているのでしょう。

出雲国で古くから信仰されてきた神様なのです。

 

鑽火祭(亀太夫神事)とは!?

出雲大社の神在月神事は全国的に有名ですよね。

旧暦10月に全国の神様が出雲大社に集まり、1週間にわたって神在祭が行われます。

その最中に古伝新嘗祭という、いわゆる五穀豊穣に感謝をする新嘗祭(にいなめさい)が行われるのですが、このお祭りは熊野大神のお許しがないとできないのです!

古伝新嘗祭に使う御食は、熊野大社の火起こしの神具、燧臼(ひきりうす)、燧杵(ひきりきね)を使って作らねばなりません。

そのために出雲大社宮司は毎年ここ熊野大社に燧臼と燧杵をいただきに訪れます。

このお祭りを鑽火祭(きりびまつり)と呼び、燧臼と燧杵を受け渡す儀式を亀太夫神事(かめだゆうしんじ)と呼びます。

鑽火殿

燧臼と燧杵は鑽火殿に保管されています。

さらに興味深いのが、出雲大社宮司をお出迎えするのは、

下級神官の「亀太夫」であることです。

さらに出雲大社が納める餅の出来ばえについて

苦情を口やかましく言い立てるのです。

亀太夫神事

あくまでも出雲大社よりも格上であることを印象付けるような神事ですね。

熊野大神とは本当に偉大な神様であったようです。

 

熊野大社の摂社

f:id:kunato38:20190127084234j:image境内には3つの摂社がありますが、いずれも古事記・日本書紀に由来した須佐之男命のご家族神となっています。

 

稲田神社

画像引用:公式サイト

ご祭神

櫛名田比売命(くしなだひめのみこと)

足名椎命(あしなづちのみこと)

手名椎命(てなづちのみこと)

 

配祀

  1. 御前神(みさきのかみ)
  2. 速玉之男命(はやたまのおのみこと)
  3. 奇八玉命(くしやたまのみこと)

合祀

  1. 火知命(ひしろのみこと)
  2. 建御名方命(たけみなかたのみこと)
  3. 大物主神(おおものぬしのかみ)

稲田姫は須佐之男命の正妻ですね。しかしこの神社、明治時代の法改正によって周辺の6社から合祀させられ、色んな神様がごちゃ混ぜにされてしまいました。

伊邪那美神社

画像引用:公式サイト

御祭神

伊邪那美命(いざなみのみこと)

配祀

速玉之男命(はやたまのおのみこと)

事解之男命(ことさかのおのみこと)

大田神(おおたのかみ)

衢神(くなどのかみ)

埴山姫命(はにやまひめのみこと)

天児屋根命(あめのこやねのみこと)

合祀 

王子神(おおじのかみ) 素戔嗚尊(すさのお) 

大山祇神(おおやまつみのかみ) 戸山祇神(とやまつみ)
事代主命(ことしろぬし) 応神天皇(おうじんてんのう) 

山雷神(やまいかづち)    爾保津姫命(にほつひめ) 

羽山祇神(はやまつみ) 岐神(ふなどのかみ) 

長道磐神(ながみちは)    煩神(わずらいのかみ) 

開囓神(あきぐいのかみ) 千敷神(ちしきのかみ) 

大雷(おおいかづち) 火雷(ほのいかづち)

土雷(つちいかづち) 稚雷(わかいかづち) 

黒雷(くろいかづち) 山雷(やまいかづち) 

野雷(のいかづち)    裂雷(さくいかづち) 

菊利姫命(くくりひめ) 泉守道人命(よもつちもり)

このお社にいたっては19社が合祀され、もはや何の神社なのかわかりません。。

荒神社

画像引用:公式サイト

御祭神

素戔嗚尊(すさのおのみこと)

相殿

高龗(たかおかみ)

闇龗(くらおかみ)

闇罔象(くらみつは)

この神社も多数の荒神様と水神様を合祀されたようです。

熊野大社の場所について考える

実はこの熊野大社の場所、非常に意味深なのです。

熊野大社はもともと現在の社殿の南にある天狗山の中に鎮座していたそうです。

天狗山には磐座があり、古代の祭祀の場であったことが伺えます。

本宮ヶ成(げんぐがなり)と呼ばれていたことが訛って、てんぐと呼ばれるようになったのでしょうか。

それがなぜ現在の地に遷座したのか。

現在の地は西側に八雲山があります。

また、この地も八雲村(平成の大合併によって現在は松江市)と呼ばれています。

八雲といえばスサノオと縁の深い呼び名ですね。

 

出雲大社の北側にも八雲山。その麓には須佐之男命のお社。

【八雲山】出雲大社の本当の御神体?禁足地となった山の正体とは?

 

この八雲山を通って西側に抜けると、須我神社があります。

これは須佐之男命が八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を退治した後、稲田姫と結婚してお住まいになったお社とされています。

またしても須佐之男命。。

 

まとめ

ただならぬ気配とご神徳を備えた神様であることは間違いない熊野大神。

鑽火祭が示す出雲大社との関係性。

いずれをとっても正真正銘の出雲国一之宮であるのに、表舞台にはでない。そしてご祭神は須佐之男命となっているが、そのルーツは古事記・日本書紀に「寄せて行った感」がある。

古事記・日本書紀に登場しない出雲の古い神様については、忘れてはならないが、知られても困る事が多いです。あくまでも日本は古事記・日本書紀をベースに動いていますから。。

熊野大社はいろんな意味で大事にしていかなくてはなりませんね。

最後まで読んでくださってありがとうございます。

皆様に良いご縁が結ばれますように!

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