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阿陀加夜神社|日本三大船神事ホーランエンヤの神社~シリーズアダカヤヌシ1~

出雲大社から東へ54km。松江城との縁の深い神社があります。

その名も阿太加夜神社(あだかやじんじゃ)

御祭神も謎ですが、立地も、神事も全てミステリアス。謎解きのお好きな方にはぜひご参拝いただきたい神社です。

阿太加夜神社の御祭神

阿太加夜神社の御祭神はたくさんいらっしゃいます。

  1. 阿太加夜奴志多伎喜比売(アダカヤヌシタキキヒメ)
  2. 国底立命(クニノソコタチ)
  3. 須佐之男命(スサノオ)
  4. 淤母陀流命(オモダル)

それぞれが大変なミステリアスぶりなので、見出しを分けてご紹介しますね。

阿太加夜奴志多岐喜比売

あだかやぬしたききひめ

神社のご由緒によると、大穴牟遅神(おおなむじ)の御子とあり、これはつまり大国主命の娘という意味になります。これは出雲風土記に記述された内容と一致します。

候補となる大国主命の娘とは!?

古事記・日本書紀によると下照姫(シタテルヒメ)しかいません。あとは息子たちばかり。。

この神社がある土地は、「アダカヤ」という名前なのですが、その地名由来となった神様です。そして、「タキキ」という部分が「多岐来」だとすると、この神は多岐という土地から来たのだということを示しています。

タキという地名は出雲大社の西に「多伎町」という名前で実在します。その多伎町には多伎神社があります。この多伎神社の御祭神もなんと阿太加夜奴志多岐喜比売なんです!しかし、この神社のご由緒はさらなるミステリーを生んでしまうのですが・・・それはまた多伎神社の記事でご紹介しますね。。

国底立命

クニノソコタチというお名前は古事記にも日本書紀にも出雲風土記にも登場しません。完全に謎の神様。

まだ宇宙ができて、地球が出来たばかりのころ、イザナギ・イザナミが生まれるずっと前の世界に天地創造の神様がいらっしゃった時代。地球創生に関わった神様が誕生していきます。

宇宙に回転運動が生まれ、星が巡り、地球にも公転から自転へ運動が伝わっていき、海が生まれ、空(大気)が生まれ、命が誕生していきました。

この流れを示すかのような神様が次のような方々です。

  1. 天之御中主神
  2. 高御產巣日神
  3. 神產巣日神
  4. 宇摩志阿斯訶備比古遲神
  5. 天之常立神
  6. 國之常立神
  7. 豐雲野神

これらの神様は古事記に見える、天地創造に関係している神様とされています。しかしよく見ると天之常立神(あめのとこたち)や国之常立神(くにのとこたち)はいらっしゃるのですが、「底立」という表現は見えません。

もしかすると底立というのは常立に対になる言葉なのかもしれません。表と裏、あるいは陰と陽の関係性があるのかもしれません。どんなお役目を持っていらっしゃるのかは図り知れません。。。

淤母陀流

オモダルという神様はイザナギ・イザナミよりも前に生まれた男女ペアの神の男の方。ちなみにペアの女神は阿夜訶志古泥神(あやかしこねのかみ)と言います。

なんと一番最初にお生まれになった男女ペアの神様はイザナギ・イザナミかと思いきや、実は一番最後に誕生した男女ペアなのです。

  1. 宇比地邇神・須比智邇神
  2. 角杙神・活杙神
  3. 意富斗能地神・ 大斗乃弁神
  4. 淤母陀琉神 ・阿夜訶志古泥神
  5. 伊邪那岐神・伊邪那美神

という感じでイザナギ・イザナミは5番目に誕生しているのですね。そしてなぜオモダルだけをこの神社に祀ったのかは謎。オモは面と捉え、「面が足る」つまり見た目が整っているという解釈をする説があります。こういう解釈の仕方で1~5の神様を読み解くと・・・

うひじに・・・最初の粘土

つぬぐい・・・杭のように固まりはじめた

おおとのじ・・・完全に男性となった

おもだる・・・顔が整った

いざなぎ・・・誘いあった(愛し合った)

というように男女が子をなすための準備が整っていった過程の神様たちと表現されています。それにしてもなぜオモダルをお祀りしたのかは謎ですが、阿陀加夜主様が非常に美人だったという事が由来しているのでしょうか?

阿陀加夜神社の境内

ご本殿

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出雲系神社に多い大社造、千木は男千木、本殿が向いている方角は東です。ご神紋は二十亀甲に有の文字。これは神魂神社(かもすじんじゃ)のご神紋と一致します。

雨風神社

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祭神

奥津彦命(おきつひこ)・奥津姫命(おきつひめ)

級長津彦命(しなつひこ)・級長津姫命(しなつひめ)

奥津彦とは火の神様、級長津彦とは風の神様。合わせて雨風とする名称には?ですが。。。

稲荷神社

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祭神

宇迦之魂命(うかのみたま)

荒神

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出雲地方特有の信仰。木に藁を巻き付けて作る荒神様。こちらの荒神様は完全に龍です。

兵庫神社

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祭神

松岡兵庫頭(まつおかひょうごのかみ)

この神様は江戸時代に阿陀加夜神社の神主だった方。非常に霊力が強く、松江城主の堀尾氏から、後に城主となった松平氏にも非常に篤く信仰されていたのだとか。この兵庫氏の活躍が、あの有名な神事につながっていきます。

特殊神事「ホーランエンヤ」

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日本三大船神事の1つに数えられ、10年に一度しか行われない一大イベント!

松江城に鎮座する城山稲荷神社のご神霊を阿陀加夜神社に遷座し、1週間丁重にお祀りした後、城山稲荷神社にお戻しするという神事です。

つまり城を守る稲荷神のパワーアップを図るものと推察されます。大事な大事なご神霊を守るため、地元の漁師たちは大船団を組織してその船頭を務め、神事の無事をお守りしたのだとか。依頼370年に渡って現代まで引き継がれています。

なぜわざわざ阿陀加神社までお出かけになるのか?

それは初代松江城主、堀尾氏が築城する際、何度積み上げても石垣が崩れ怪我人が続出。そこで霊験あらたかな阿陀加神社宮司である兵庫氏に祈祷を頼んだところ、無事に石垣は積み上がり築城は完成したのだそうです。

その後、堀尾氏に代わって松平氏が松江城主になった際、信仰の篤かった稲荷神社を松江城内に勧請。五穀豊穣を祈願していたものの、松平入城10年後の節目に当たる年に松江は大変な不作を迎えてしまいます。これを問題視した松平城主は稲荷神社のお祀りを阿陀加神社の兵庫宮司に委託。見事に不作は解消したのだそうです。

それ以来10年ごとに松江城山稲荷神社のお祀りを阿陀加神社が行うようになったのです。

ホーランエンヤとは謎の呼び名ですが、船上で唄われる櫂かきの掛け合いの音頭という説があります。

古くは、音頭取りの「ホーラ」の掛け声に、櫂かきが「エンヤ」と声を合わせて櫂を漕いだのです。漢字表記すると、「豊来栄弥」「宝来遠弥」なのだそうです。

まとめ

細かい説明をしていくと何が何だかわからないことになりますね。大雑把にとらえると松江城との密接な関係がある神社で、江戸時代には政治的にも祭司的にも大変な影響力を持っていた神社だと言えます。

出雲風土記を知らないとご祭神が誰なのかも分からないマニアックぶり。さすが出雲地方の神社。。

私にとっては興味をそそられる点が盛りだくさん!笑

アダカヤヌシ様がどんな神様なのかも今後取材していきます!興味のある方は続編にご期待を・・?

最後まで読んでくださってありがとうございます!

皆様に素敵なご縁が結ばれますように!

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