1. HOME
  2. ブログ
  3. 勝日高守神社|月山富田城跡に鎮座する戦勝祈願の神

勝日高守神社|月山富田城跡に鎮座する戦勝祈願の神

安来市広瀬町、戦国時代に難攻不落と謳われた月山富田城がっさんとだじょう跡に鎮座する神社。月山富田城は周囲を山河に守られ、最も難攻不落の要害城とか天空の城とも呼ばれていたそうです。標高183mに鎮座するこの神社に参拝するには、もうほぼ登山なのですが、頑張って参拝してきましたのでご報告します!

月山富田城跡とは

月山富田城は保元年間(1156~1159年)に平家の武将・藤原景清が築城したとされています。

京極家の分家である尼子氏は、南北朝時代の婆沙羅大名ばさらだいみょうとして有名な佐々木高氏の孫・高久が近江国甲良荘尼子郷(滋賀県甲良町)に居住し、名字を尼子と称したことから始まっています。京極氏の出雲守護代として月山富田城に入場した高久の次男・持久。持久の孫・経久の代に幕府ともめて城を追い出されますが、奇襲作戦により富田城を奪還。戦国大名として名乗りを上げました。

経久が孫の晴久に家督を譲り、晴久の時代には実に山陰・山陽八か国を統治し隆盛を極めました。その統治範囲は出雲・隠岐・伯耆・因幡・美作・備前・備中・備後と広範囲に渡ったそうです。

しかしその晴久が急死。嫡男・義久は毛利の攻勢により富田城に籠城。兵糧攻めにあった末に降伏し、義久は毛利に降り、安芸で配流生活を送ることとなりました。これにより尼子氏は解散。一旦は戦国大名としての名を失います。

ところが尼子の忠臣であった山中鹿之助幸盛やまなかしかのすけゆきもりは尼子の再興を諦められず、京都の東福寺の僧侶となっていた尼子晴久を説得。そして晴久を擁立して尼子家再興を掲げ、毛利が占拠している月山富田城へ侵攻。しかし難攻不落で有名な月山富田城は落ちず、栄華を極めた時代の冨田城を奪還できません。その後尼子は織田信長の傘下に入り、播磨国の上月城こうづきじょうを防衛する任において毛利に追い込まれ、勝久は切腹し鹿之助は捕虜となったのです。

毛利の捕虜となり移送されることとなった鹿之助は、その道中に斬殺され、ついに尼子再興の夢は潰えたのでした。月山富田城はその後、江戸期に堀尾忠晴が入城するものの、松江城にその拠点を移すと廃城となったそうです。

勝日高守神社のご祭神・ご由緒

大己貴命幸魂おおなもちのみことのさきみたま

神社の創建は欽明天皇三十一年(570年)に大国主命の分霊をお祀りしたことに始まったとされています。南北朝時代の延喜式や奈良時代の出雲国風土記にその存在が確認できます。

記紀によると出雲の国造りを行ったオオクニヌシは、自らの力不足に悩んでいると海上から光り輝くものが出現。「我を三輪山に祀れ」と託宣を受けたのでした。この光り輝くものの正体はオオクニヌシ自身の幸魂だったとされています。つまり、大きな事を成し遂げるにあたっては味方を増やすことも大事だが、まずは自分自身の能力を信じ、鼓舞する事の大事さを説いていると考えられます。

勝日高守神社は出雲国を治めようとした歴代の月山富田城主(尼子・毛利方の吉川・堀尾)から、城の鎮守社として崇敬されてきました。難攻不落の富田城の山頂にあることで「落ちない」、鹿之助ゆかりの神社であることから「粘り強い」などとされ、受験・試合に御利益があるとされています。

ここ月山富田城にあるこの勝日高守神社は奥宮とされ、飯梨川を挟んで対岸にある富田八幡宮境内には里宮勝日高守神社が存在しています。

勝日高守神社の境内

御本殿

社殿は春日造で、千木は男千木、方角は南東を向いています。晴久の代には岡山まで侵攻したこともあり、攻めていく方角を向いているのでしょうか。

参道・本丸への道

標高約190mの月山頂上にある本丸までは、大人の脚で約40分といったところです。

勝日高守神社へのアクセス

山陰道 安来ICから車で約15分。山の2合目くらいに無料駐車場があります。

ちなみに参拝を済ませた方は近くにある安来市歴史資料館にて御朱印をいただくことができます。勝日高守神社の御朱印のほか、山中鹿之助御朱印があり、これも通常版とゲーム戦国無双版の2種があります。萌えますね。

こんな銘菓も発見しました。鹿之助タオルや藍染めグッズなどもたくさんありましたので、歴史資料館にもぜひお立ち寄りくださいね。

まとめ

山陰を代表する武将・尼子と鹿之助。尼子再興のためなら「七難八苦を我に与えたまえ!」と叫んだ忠臣・鹿之助は、まさに七難八苦の末に夢叶わず散っていきました。一時は隆盛を極めた尼子の影を落とす月山富田城には、戦勝祈願・国土平定を願った神社が残るのみでした。本丸跡から望む景色は四方から攻めてくる軍勢が一目瞭然であり、難攻不落の城と謳われた意味を理解します。戦国好きな人なら一度は訪れてみてはいかがでしょうか。

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

初めての日本神話にオススメの本

神社に興味があるのに!
神社の御由緒書きを読んでも内容が分からない!

パワースポットとか大好きなのに
ネット検索するしか調べる術がない…

日本文化をもっと詳しく知りたい
と思ったら、神話にルーツがありそうだと分かった…

などと悩んでいる方!実は僕もそうだったんです!これからご紹介する本を読めば、神社に行くのがもっと楽しくなって、日本文化のルーツが分かります!

でも神話って読みにくい・・・そんな最初のハードルを越えやすい優秀な書籍です。
僕は今でも片手に読みながらブログを書いています。時には神社参拝に持っていく事も!
神社のいろはを勉強するならまずは読んで欲しい。。そんなお勧めの書籍たちをご紹介します!


古事記の入門書

皇室の旧宮家である、竹田恒泰先生の書籍。古事記には非常にたくさんの神様が出てきて、全部覚えようとすると挫折します。。実は古事記って再び登場する神はほとんどないんです。 この本は覚えた方がいい神様とそうではない神様を見分ける目印がついているというスグレモノ! さらに皇室側の視点で見た読解がすごく面白い!そして丁寧な解説!初めて古事記を読むなら、この本が絶対おすすめ!


日本書紀の入門書

神話や和歌が少ない日本書紀は、読み進めるのがつまらなくなりがち。だって日本書紀って年表を読んでいるような気になる記述なんです。 でもこの本なら漫画表記と文字表記がペアになっているという画期的な工夫がなされています! 文字だけ読みたい人にも、漫画だけ読みたい人にも一冊で対応可能!しかも、どっちを読んでもある程度内容がつかめてしまうという・・・初めて日本書紀読むなら絶対これ!


超高速で理解する古事記

note
超高速で理解する古事記|note

神様の名前を読む自信が無い!
神話を読む自信が無い!
そもそも本を1冊全部読めた試しがない!
だいたいどんな話なのか分かれば十分という方!
これなら超高速で古事記を理解し、10分あれば古事記の概要を理解し、天皇や神社について大雑把に理解できます。
時間のない方にもおすすめです!
読んでみる

神社参拝に便利な御朱印帳


出雲の神社を歩くなら!
御朱印帳を持参して思い出を残しましょう!
コロナ禍でも、神社参拝ならソーシャルディスタンスを保ってひっそりと楽しめる!日本人ならではの旅行を楽しみましょう!