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田々神社|唯浦につづく美保と「タタ」信仰の謎

出雲市美保町。出雲市平田町の街中から約10分くらい車で走ると、日本海側に位置するこの町。山と海に囲まれた静かな港町です。そんなひっそりとした集落に祀られているのは、ミホツヒメ。前回美保関で気づいたミホツヒメトライアングルを確かめに来たのでした。

前回の記事はコチラ

住宅の間から参道が続き、その先に見えるのは・・・

参拝者を試すような急階段!

これが結構長いんです。。

田々神社のご由緒

神社のご由緒書きににはこのようにありました。

出雲国風土記 楯縫郡条の海岸記事に「唯浦」はみえないが、神社項に「田田社」が記されている。現在の「田田神社」、旧の「美保大明神」につながるのであろう。古く江戸時代初期の「出雲風土記抄」には「楯縫郡只浦大明神」とみえ、古代の「田田」の呼称を残していたことがわかる。
しかし江戸時代中期の享保二年(1717年)の雲陽誌では「たた」の名称を失い、「三穂明神 美穂津姫をまつる。本社なし幣帛を立る」とあるのみで、社伝もなくなる。
「美穂津姫」の名が今の美保町に活きていることは注意したい。
江戸後期の「出雲神社巡拝記」でも「今は社なし」と報告されている。慶応二年に同社を参拝した小村和四郎は「脇石玉垣、神木あり」「東の海辺の山本に、本宮といいて古来社地あり、幣を指してまつる」と書き残している。明治になり社殿も整えられ、風土記社名に復した。現在拝殿の扁額は「田田神社」となっている。

神社ご由緒書き

昭和21年の神国島根では、

創立年月不詳。古老の伝えでは、昔 能呂志浜に佐藤銀之助の祖先が勧請した。凡そ800年前(1146年平安期ごろ?)に大洪水大津波により人家流失し、その後 佐藤家他五戸が字責鞍及字下浦へ移住せし際、当社も現在地に奉遷せりと。

神国島根

つまり奈良時代くらいには「たた」と呼ばれる神社があり、平安時代に洪水で消失し、現在の鎮座地に移った。江戸時代には社殿が無くなっていたが、ミホツヒメを祀る祭祀は残っていた。そして明治期に社殿も復活して現在の鎮座地にあるということでしょう。

田々神社の御祭神

美保津姫命みほつひめのみこと

この神様は日本書紀に登場し、オオクニヌシの正妻となられたお方。オオクニヌシの正妻と言えば古事記ではスサノオの娘スセリヒメですが、日本書紀では国譲りを終えたオオクニヌシにタカミムスビが娘を娶るように勧めたとなっています。

美保関にあった幸魂神社はミホツヒメのお墓とされていましたが、この唯浦ただうらではどのような祭祀があったのでしょうか。日本海側の四十二浦を船で移動すれば、美保関までは簡単にたどり着けたと考えると、日本海側に祀られている事自体は不思議ではないのですが、町の名前が「美保町」というくらいの浸透ぶりを見るに、ミホツヒメがいらっしゃるから美保町となった地名由来神とお見受けします。

田田神社の境内

御本殿

社殿は春日造で、千木は女千木、ご神紋は丸に田、方角は東を向いています。

ミホツヒメトライアングルの探求の為に訪れたので、幸魂神社の方角、つまり北東を向いていて欲しかったのですが、社伝はほぼ真東を向いていて。東、東の方角といえば・・・多太ただ神社!?

なんとこの方角にも「タタ」の音を持つ神社が!この多太神社といえば、出雲風土記に登場するスサノオの息子、ツキホコトオルを祀っているのですが・・・

タタとかタネとかいう土地には太田田根子が関係しているというウワサもあります。そういえば宍道の田根のあたりにも三輪山信仰がありましたね。来待神社とか。

もしかするとミホツヒメもツキホコトオルも三輪山・大物主・事代主に関係した神様だったのかもしれません。

謎のお社

大社

大国主命

三徳荒神

美穂津姫

謎のお社

稲荷神社

田々神社へのアクセス

一畑電鉄の雲州平田駅から車で12分。いちおうバスで目指すこともできるようですが、帰りが困るのでオススメしにくいです。神社前まで車で行くとUターンが困難になります。

神社より200mくらい手前の白いフェンス前に路上駐車しましょう。

まとめ

ミホツヒメトライアングルを検証するために訪れた田々神社。美保町という地名を見るに、ミホツヒメが地名由来神という事は想像できたのですが、神社が見つめる方角には同じ「たた」の音を持つ多太神社の存在。ミホツヒメが見つめていた景色の先にはどんな信仰があったのでしょうか。次なるミホツヒメの鎮座地、奥出雲にて完結することを期待します。

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