シタテルヒメ|下照姫・下照比売・高比売命・稚国玉
シタテルヒメ
古事記:高比売命、下照比売、下光比売命
日本書紀:下照姫、高姫、稚国玉
出雲風土記:なし
シタテルヒメの特徴
容姿端麗・倭文織の祖・和歌の祖・安産・雷神
シタテルヒメの御神徳・御利益
子宝・安産、文芸上達、恋愛成就
シタテルヒメの系譜
古事記・日本書紀に見える系譜
父:大国主命
母:多紀理毘売・田心姫命(宗像三女神)
夫:天若日子
兄:阿遅鉏高日子根神
子:不明
シタテルヒメにまつわる神話
国譲りの使者を魅了
出雲に国譲りを迫るため、アマテラスは交渉人を派遣します。最初に送り込んだアメノホヒは3年経っても連絡をよこさなかったため、次に送り込まれたのがアメノワカヒコ。しかし彼もまたオオクニヌシの娘であるシタテルヒメに夢中になってしまい、ついに結婚し8年もの間アマテラスへの連絡を怠るのでした。
このことから、大事な使命を忘れさせるほどの魅力で恋愛成就のご神徳が考えられます。
兄の横暴とシタテルヒメの和歌
アマテラスの命に背いた夫のアメノワカヒコは、ついに処刑されてしまいます。葬儀に駆け付けた兄のアジスキタカヒコは、死んだアメノワカヒコとそっくりだったため、死者が生き返ったと勘違いされ親族にすがりつかれます。「死者と間違えるとは何事か!」と怒りに任せて葬儀をぶち壊したアジスキタカヒコ。その怒りながら去っていく兄にシタテルヒメは次のような和歌を詠んだのでした。
天なるや 弟棚機の 項がせる 玉の御統に 穴玉はや み谷 二渡らす 阿治̪志貴日子根の 神そ
天の上にいらっしゃるうら若き機織女が首にかけている玉飾り。その玉飾りの穴の開いた玉が照り輝くように、2つの谷に渡って輝いているのはアジスキタカヒコという神なのです。
去っていく兄の背に呼びかけたこの歌。あの人、アジスキタカヒコっていうんです!!という名前を通報する歌と思いきや、兄を称賛するかのような美しい表現はまさに謎。初めて和歌を詠んだのはスサノオであると記紀では言われていますが、シタテルヒメが詠んだ歌は五七五にならないえびす歌。夷売とも。
このことから和歌の祖と言われることもあり、文芸上達のご神徳が考えられます。
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