セオリツヒメ|瀬織津姫・天照大神荒御魂・祓戸四大神
セオリツヒメ
古事記:なし
日本書紀:なし
出雲風土記:なし
各地神社伝承による習合:
天照大御神の荒魂(撞賢木厳之御魂天疎向津媛命)、大禍津日神、八十禍津日神、月の女神
セオリツヒメの特徴
祝詞の大祓詞に登場するのみで、古事記や日本書紀にも見えない謎の神。
各地の神社や伝承にてその神格が伺える。
セオリツヒメの御神徳
祓え清め、導きの神
セオリツヒメの系譜
父:伊弉諾尊
※お祓いの時に唱えられる祓詞には「イザナギが禊を行った時に誕生した神よ」と召喚されている。
セオリツヒメにまつわる神話
鎌倉時代の書物に見えるセオリツヒメ
鎌倉時代に書かれた倭姫命世紀と中臣祓訓解という2つの神道書には、祓戸三神が伊勢神宮に祀られているとしている。
瀬織津姫尊・・・伊勢神宮内宮・荒祭官(天照大神の荒魂)
速秋津姫尊・・・伊勢神宮内宮・滝沢宮並宮
気吹戸主尊・・・伊勢神宮外宮・多賀宮(豊受大神の荒魂)
つまり、セオリツヒメはアマテラスの荒魂だという伝承ですね。
ここで注意が必要なのは、これら2つの書物は古事記・日本書紀が書かれた奈良時代ではなく、中世の鎌倉時代で、神道の書物だということ。
滋賀県 佐久奈度神社の伝承
大祓詞の中に、「佐久那太理に落ち多岐つ。早川の瀬に坐す。瀬織津比売と伝ふ神。大海原に持出でなむ。」とあり、サクナダリとは水が勢いよく流れ落ちる様を表現する言葉(諸説あり)。そのサクナダリの音を含むサクナド神社には、ここが大祓詞の発祥地であるとともに、祓戸四神の総本宮だとしている。
※佐久奈度神社のホームページはこちら
石川県 瀬織津姫神社の伝承
イザナギが黄泉帰りの禊をした際に誕生した神々。「上の瀬は流れが速い、下の瀬は流れが弱い」と呟き、中の瀬つまり海の中ほどで禊を始めたのでした。。
その際、誕生した災いの神「大禍津日神」は瀬織津姫神社によると「落ちたぎる速川の瀬にいて諸々の罪穢を大海原に持ち出される神」としている。災いを招く神ではなく、災いを川から海に流して祓う神だということでセオリツヒメは大禍津日神だとしている。
※瀬織津姫神社の情報はこちら
福岡県 宇奈己呂和気神社の伝承
安積郡の高旗山山頂にセオリツヒメが顕現したので祭祀されたのが始まりと伝わる。
イザナギが黄泉帰りの禊をした際、誕生した災いの神「八十禍津日神」とセオリツヒメは同神であり、セオリツヒメはアマテラスの荒魂(撞賢木厳之御魂天疎向津媛命)であるとする。
※宇奈己呂和気神社の情報はこちら
福岡県 和布刈神社の伝承
応神天皇の母、神功皇后がアマテラスの託宣を受けて朝鮮を平定に向かわれた、いわゆる三韓征伐の伝説に基づいた伝承が残る。
アマテラスの荒魂「撞賢木厳之御魂天疎向津媛命」は別名を「瀬織津姫」であるとしている。またセオリツヒメは月の女神であり、潮の満ち引きを司る導きの神様であるとする。
※和布刈神社のホームページはこちら
まとめ
セオリツヒメ=アマテラスの荒魂=災いの神オオマガツヒ&ヤソマガツヒ=月の神&導きの神
まとめてみると、これはイザナギが禊を行った時に誕生したという大祓詞の中の描写に、なぜか神功皇后の三韓征伐の影響が混ざっているようですね。なぜアマテラスの荒魂だとされたのか、誰が最初に言い出したのか。元々は大祓詞の中にしか見えない神なので、色々な想像ができて、ミステリアスな神様ですね。
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