1. HOME
  2. ブログ
  3. 美談神社|和加布都努志命とはどんな神様?真実に迫る重要な神社

美談神社|和加布都努志命とはどんな神様?真実に迫る重要な神社

f:id:kunato38:20190116060313j:image

出雲大社の御本殿には大国主命が祀られていますね。このことは全国的にも有名です。

しかし、実は出雲大社のご本殿に祀られている神様は大国主命だけではないのです。

なんと、大国主命以外にも六柱祀られているのです!

その中でも古事記・日本書紀に登場しない謎の神様があります。

 

和加布都努志命(わかふつぬし)

出雲大社の御本殿の中で、大国主命は西を向いています。

それに対して、和加布都努志命は参拝者の方をまっすぐ向いているのです。

 

詳しくはこちらに本殿の内部構造を記載しています。

出雲大社の御本殿で私たちは誰にお祈りしているのか?

 

今回はこの和加布都努志命の真実に迫るべく、出雲風土記に記載された神社を訪ねました。

その名を美談神社(みだみじんじゃ)と申します。

 

美談神社の御祭神

経津主命(ふつぬしのみこと)

建御雷命(たけみかづち)

息長足姫命(おきながたらしひめ)

 

まず驚きなのが出雲風土記に記載された美談神社は「和加布都努志命を祀る」とあるのに、御本殿には違う神様。音が同じであるからという理由で和加布都努志命と経津主命を同一神とみなす説があるようですが、出雲風土記では別の神様として扱っています。

 

出雲風土記では和加布都努志命は大国主命の御子となっています。

 

f:id:kunato38:20190116060257j:image

御本殿の形状は流造(ながれづくり)で、大和系のデザインをしていることから、いわゆる古事記・日本書紀に記載されている「国譲りを迫った側の神」を祀っている事を示しています。

ご本殿は南を向いています。

 

どうやら江戸時代に武家の信仰により「八幡の神を祀った」という文献があり、八幡の神とは応神天皇とその母の息長足姫命の事を指します。この八幡様は武家にとっては崇敬厚く、さらに武家に崇敬の厚い、武士にご利益のありそうな「武神」である「タケミカヅチとフツヌシ」をお祀りしたのでしょう。

もともとあった和加布都努志命を祀る「美談神社」を押しのけて、真ん中に信仰したい神様を据えた。ということでしょうか。

 

 境内摂社の彌陀彌社

f:id:kunato38:20190116214418j:image

画像引用:今井出版 解説出雲風土記

和加布都努志命(ワカフツヌシ)をお祀りしていたミタミ神社は、実は元々十二社あったというのです。

それが現在はこの境内摂社2社に集約されてしまっています。

神祇官不在などで維持できなくなったのでしょう。

f:id:kunato38:20190116060300j:image

向かって左手側の三社繋がったお社のうち右側二つの扉が彌陀彌社です。

延喜式神名帳という文献には

1.クシミケヌノミコト

2.オオジヌシノミコト

3.オオヤマクイノミコト

4.コノハナサクヤヒメ

 

以上の四柱を祀るとされているようですが、クシミケノミコト以外は出雲系とは言い難く、和加布都努志命との関係性を見出せません。

左手のお社には「小早川神社」とあります。

こちらは小早川正平と小早川隆景の二柱を祀っているようです。

島根県では縁の深い、毛利系の武将ですね。

右側の春日造のお社は天地の神とだけ書かれています。
f:id:kunato38:20190116060305j:image

 

境内摂社の和加布都努志命神社

もともと「ミタミ社」に祀られているはずの和加布都努志命は本殿の左側の摂社に祀られています。

f:id:kunato38:20190116060309j:image

写真右手側のお社が和加布都努志神社と縣社という二つの看板を掲げており、祀られている神様は天穂日命(出雲大社宮司家祖先)と和加布都努志命の二柱とのこと。

このお社はもともと出雲風土記に記載された「アガタ社」に、和加布都努志命を合祀して遷座してきたものの様です。アガタ社も元々は三社あったようです。

左手側の摂社は印波神社といって、天手力雄命(アメノタジカラオ)と太玉命(フトダマノミコト)の二柱をお祀りしている様です。こちらも国譲りを迫った側の神様であり、和加布都努志命との関係を見出せません。

このお社も出雲風土記に記載された「イワ社」を遷座してきたものの様です。

まとめ

和加布都努志命とはどんな神様かの謎に迫る為に訪れた訳ですが、この美談神社は周辺にあった色々な神社を合祀・遷座するうちに、元々の神様の御由緒が薄くなったのでしょう。

そうこうするうちに武家の時代を迎え、ご利益信仰によって八幡の神をメインにした。その頃は神社の名前も「八幡宮」であった。

その後、出雲風土記の時代の御由緒を思い出す意味で「ミタミ」の名を復活させたというところでしょうか。

境内には謎のお社もまだあります。

f:id:kunato38:20190117234018j:image
f:id:kunato38:20190117234021j:image

こちらの2か所のお社はご祭神もわかりません。

ただし出雲風土記には「フツヌシ」と「ワカフツヌシ」は別の神様として記載されていますので、同一の神様と見なすのはまだ早いと思われます。

実はもう1社、和加布都努志命の情報をもった神社に参拝してみる予定です。

その内容はまた次回。

 

美談神社へのアクセス

出雲大社からは車で約20分。

一畑電鉄は美談駅下車後、徒歩約10分です。

駐車場がありませんので、車でお越しの際は路上駐車しかできません。少し東側に路駐ポイントがありますので、そこに停めるくらいしかありません。

神社手前の路地を入ったところにある駐車場は私有地ですので、くれぐれも入らないようにしてくださいね。

最後まで読んでくださってありがとうございます。

皆様に良いご縁が結ばれますように!

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

初めての日本神話にオススメの本

神社に興味があるのに!
神社の御由緒書きを読んでも内容が分からない!

パワースポットとか大好きなのに
ネット検索するしか調べる術がない…

日本文化をもっと詳しく知りたい
と思ったら、神話にルーツがありそうだと分かった…

などと悩んでいる方!実は僕もそうだったんです!これからご紹介する本を読めば、神社に行くのがもっと楽しくなって、日本文化のルーツが分かります!

でも神話って読みにくい・・・そんな最初のハードルを越えやすい優秀な書籍です。
僕は今でも片手に読みながらブログを書いています。時には神社参拝に持っていく事も!
神社のいろはを勉強するならまずは読んで欲しい。。そんなお勧めの書籍たちをご紹介します!


古事記の入門書

皇室の旧宮家である、竹田恒泰先生の書籍。古事記には非常にたくさんの神様が出てきて、全部覚えようとすると挫折します。。実は古事記って再び登場する神はほとんどないんです。 この本は覚えた方がいい神様とそうではない神様を見分ける目印がついているというスグレモノ! さらに皇室側の視点で見た読解がすごく面白い!そして丁寧な解説!初めて古事記を読むなら、この本が絶対おすすめ!


日本書紀の入門書

神話や和歌が少ない日本書紀は、読み進めるのがつまらなくなりがち。だって日本書紀って年表を読んでいるような気になる記述なんです。 でもこの本なら漫画表記と文字表記がペアになっているという画期的な工夫がなされています! 文字だけ読みたい人にも、漫画だけ読みたい人にも一冊で対応可能!しかも、どっちを読んでもある程度内容がつかめてしまうという・・・初めて日本書紀読むなら絶対これ!


超高速で理解する古事記

note
超高速で理解する古事記|note

神様の名前を読む自信が無い!
神話を読む自信が無い!
そもそも本を1冊全部読めた試しがない!
だいたいどんな話なのか分かれば十分という方!
これなら超高速で古事記を理解し、10分あれば古事記の概要を理解し、天皇や神社について大雑把に理解できます。
時間のない方にもおすすめです!
読んでみる

神社参拝に便利な御朱印帳


出雲の神社を歩くなら!
御朱印帳を持参して思い出を残しましょう!
コロナ禍でも、神社参拝ならソーシャルディスタンスを保ってひっそりと楽しめる!日本人ならではの旅行を楽しみましょう!