三澤神社|アジスキタカヒコ復活の地にある水伝説とは!?
出雲風土記に三澤社と記載された神社。ここには大国主命(おおくにぬしのみこと)の息子が祀られています。そしてこの地には古くから水に関わる伝説が残されているのですが、それがなんとも奇妙なのです。
一見するとよくある神社なのですが、そこにはミステリーがいっぱい!早速ご紹介していきましょう!
三澤神社のご祭神
主祭神
阿遲須枳高日子根命(あじすきたかひこね)
合祀
大己貴命(おおなむちのみこと)
素盞嗚命(すさのおのみこと)
志那都比古命(しなつひこのみこと)
志那都比賣命(しなつひめのみこと)
氣長足比賣命(おきながたらしひめのみこと)
別雷命(わけいかずちのみこと)
少彦名命(すくなひこなのみこと)
五十猛命(いそたけるのみこと)
祭神は、もともとアジスキタカヒコだけであったが、後にたくさんの神様を合祀してきた歴史がある。
明治七年 意宇郡林村の風宮を合祀(大己貴命、素盞嗚命、志那都比古命、志那都比賣命)
明治十三年 末社祭神 氣長足比賣命を本殿へ合祀
明治四十年 村社加茂神社(別雷命)、高守神社(少名彦名、五十猛か)を合祀
三澤神社のご由緒
この三澤社には大国主命の息子、阿遲須枳高日子根命(アジスキタカヒコ)に関する神話が残されています。そしてその神話が三澤という地の地名由来にもなっているのです。
言葉を話せなかったアジスキタカヒコ
–出雲風土記から引用–
阿遅須伎高日子命は髭が伸びる年になっても昼夜問わず泣いていて言葉が通じない。大国主命は困ってしまった。 ある夜大国主命は夢を見ました。そこでは御子は言葉が通じるようになっていた。 目を覚ました時、大国主命は阿遅須伎高日子命に問いかけると「みさわ」と初めて話したという。
大きくなっても言葉を話せずにいたというのは、第11代 垂仁天皇の御子「ホムチワケ」のエピソードと似ています。また、ひげが伸びる年になっても泣いてばかりいたというのは、スサノオが母(イザナミ)に逢いたいと言って泣いていたエピソードと似ています。
それはさておき、このアジスキタカヒコが初めて話した言葉がみさわだったのです。沢がある事を意味する「御沢」が転じて三澤となったのでしょう。
そしてこの出雲風土記の記述には続きがあるのです・・・
三澤の湧き水に秘められた力
–出雲風土記の引用–
その場所を問うと、御子は突然駆け出し、石がたくさんある川を渡ったある場所に留まり「ここです」と申し上げた。 その場所には湧き水があり、大国主命は沐浴をした。 それ以来、出雲国造(出雲大社宮司家の祖先)が、天皇の御前で神賀詞(かんよごと)という特別な祝詞を奏上するとき、最初にこの湧き水が禊(みそぎ)に用いられるようになりました。 地元の妊婦はこの水で育った稲を食さない。それは生まれた子供が言葉に異常をきたすからだと言われている。
アジスキタカヒコの言語障害を治したはずの水が、妊婦や子供に悪い影響を与えるとは・・・この神話が示すものは、神事に使う水であるため、庶民の利用を遠ざける意味合いがあったのでしょうか?
この三澤の湧き水はここ!という説がいくつかありますが、その一つが三澤神社の西側にある要害山にあります。ここは古くは尼子の城、三沢城だったのですが、三沢城址に上がっていく道に三澤池があります。地図では示しにくいので、こちらをご参照ください。
三澤神社の御本殿
社殿は大社造り、千木は男千木、御神紋は亀甲に剣花菱。社殿は真東を向いています。
謎の神様アジスキタカヒコ
古事記ではこの神を賀茂大神(かものおおかみ)という別名で呼んでいます。つまり京都の上賀茂神社のご祭神です。
しかし上賀茂神社では、賀茂大神とは呼ばず、賀茂別雷大神(かもわけいかずちおおかみ)と呼んでいます。
そして古事記では大国主の御子とは呼んでいません。逆に出雲風土記では大国主の御子と明記しているのです。
三澤神社の境内社
社日神社
天照大神(あまてらすおおかみ)
大己貴命(おおなむちのみこと)
少名彦名命(すくなひこなのみこと)
宇賀魂命(うがのみたまのみこと)
埴安姫命(はにやすひめのみこと)
原田八幡宮
誉田別命(ほんだわけのみこと)
足守社・荒神社
右側の木が足守社(あしもりしゃ)
八衢比古命(やちまたひこのみこと)
八衢比咩命(やちまたひめのみこと)
右側の木が荒神社
荒神大神(こうじんおおかみ)
事代主社
事代主命(ことしろぬしのみこと)
鳥居
この特徴的なしめ縄の巻き方、見たことあります。
出雲大社の境外摂社、阿須伎神社(あすきじんじゃ)です。
ご祭神はもちろんアジスキタカヒコ。
そしてもう一つ・・・
京都の上賀茂神社(かみがもじんじゃ)です!
このしめ縄の様式の一致は何を意味するのでしょうか・・・いずれ分かってくるかもしれませんね。。
三澤神社へのアクセス
JR木次線、出雲三成駅からは車で約10分。
公共交通機関で行くのは難しいですので、マイカーかレンタカーをご利用ください。 タクシーも電話で呼ばないとつかまらない地域です。。
まとめ
出雲と大和のつながりを暗示するアジスキタカヒコの神話。真相に迫る事はできませんでしたが、アジスキタカヒコの声が出るようになったとされる三澤の地には、たくさんの湧き水が出ていました。
奥出雲ではこの湧き水を延命水とか、福寿水などと有難い名前で呼んでいます。出雲風土記を紐解くと、気軽に飲めない感じがしますが・・・今もとうとうと流れ出る湧き水。。
トウトウの滝というのもありましたよ。ダジャレだ。。
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