彌久賀神社|くにびき神話の地に日本開闢の神あり?
神西湖のほとりに鎮座する古社、彌久賀神社。その歴史は古く、奈良時代に書かれた出雲国風土記にはその存在が見えます。しかも出雲では中々珍しい神様を祀っているのですが、そのルーツとは!?
彌久賀神社の御祭神
天之御中主大神
合祀 宇賀御魂神
この神様は古事記によると、最初に誕生した天地開闢の神。何も無い宇宙空間に突如として誕生し、すぐに姿を消したとされる神です。妙見信仰がある神社には祀られていることがありますが、出雲ではレアです。主祭神としている神社は高宮神社などがあります。
江戸時代に書かれた「雲陽誌」には主祭神は國狭槌尊となっており、この神は日本書紀でいうところの一番最初に誕生した開闢の神である。いずれにしても最初に誕生した神を祀るということでしょうか。
さらに神社の社殿によると江戸時代には、「若一王子権現御社」と呼ばれ、若一王子とは一般的にアマテラスを祀る神社であることから、さらに謎が深まってしまいます。
この辺りは古来、美久我林と呼ばれていることから、現代の御祭神は後付けで、美久我大神という地元神がおられたのかもしれませんね。
彌久賀神社の境内
御本殿
社殿は大社造、千木は男千木で、御神紋は二重亀甲に違鷹羽、方角は西を向いています。かつて神門水門が出雲国の海路上の関所だったことを考えると、この神社も日本海の方を向いており、何かしらの要所だったのかもしれませんね。
疫病神社
少名毘古那神
八十禍津日神
大禍津日神
オオクニヌシと出雲の国を作り、薬の神としても知られるスクナヒコ。そしてイザナギの穢れから誕生した疫病の神であるヤソマガツヒとオオマガツヒ。
私が参拝した2021年はコロナウイルス退散を願って茅の輪が掛けられていました。この末社は元々、昭和初期に腸チブスという疫病が大流行し、昭和24年に疫病鎮めを願って建てられたそうです。同様の疫病神社は島根県内に、津和野町・日原町、小境町に建てられています。
今の時代にあっても御利益を期待して止みません。彌久賀神社の拝殿には疫病退散のお札もありました!
恵比須神社
大己貴神
事代主神
船玉神
豊玉彦神
豊玉比女神
稲荷神社
正一位稲荷大明神
苗鹿神社
天太玉神
もともと近所の苗鹿に地域の氏神様として祀られていたが、明治期に彌久賀神社に遷座したとのこと。フトダマといえばアマテラスの岩戸隠れ神話において、お祓いの儀式を行った神。子孫にはあの忌部氏がある。
謎の祠たち
御祭神も御由緒も不明。たくさんの神様たち。
神御祖ノ社
伊弉諾尊
伊弉冉尊
子宝夫婦神としてイザナギ・イザナミの二柱が祀られている。神御祖とは、この夫婦神が日本の神様をことごとく生み出した事に由来する。
末社の後ろには例のアレが鎮座していた。。
彌久賀神社へのアクセス
JR山陰本線、江南駅から車で約6分。駐車場と呼べる場所はありませんが、神社前の砂地に停める場所が十分にありました。
まとめ
古くからある神社だが、お祀りされているのは記紀に最初に登場する神様。美久我の森といえばくにびき神話の舞台である長浜に位置していることから、出雲国開闢の神「オミヅヌ」と何か関係があったのかもしれません。そういえば長浜神社からも近いですし・・・?
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