女夫岩遺跡|高速道路の上に鎮座する磐座!?
磐座ファンの皆様お待たせしました!
今回ご紹介する磐座は出雲風土記にも記述が見える、伝説の磐座なのですが、その場所がすごく珍しいのです!
なんとこの場所、山陰道という高速道路の真上。。なんでこんなところに、というか遺跡の下を掘ったというか。。
高速道路のトンネルの上が遺跡という。珍しいタイプの遺跡なのです。この遺跡は出雲風土記に記載があります。
出雲風土記に見える女夫遺跡とは?
所造天下大神命(あめのしたつくらししおおかみ)が狩りで追いかけなさった猪の像が、南の山に二つある。一つは長さ二丈七尺、高さ一丈、周り五丈七尺。もう一つは長さ二丈五尺、高さ八尺、周り一丈九尺。猪を追う犬の像。長さ一丈、高さ四尺、周り一丈九尺。その形は石となっているが、猪と犬以外のなにものでもない。今でもなお存在している。だから宍道(ししじ)という。
所造天下大神というのは大国主命のこと。つまりこの遺跡周辺はオオクニヌシが狩りをしていた場所なのでしょう。ここから南西に行った宇賀神社には犬垣(野獣が村に下りて来ないようにするための垣根)があったとされるので、その狩場は広範囲だったことが分かります。
出雲風土記の記述は、古代に行われた狩りの風景を形どったような巨石があることを伝えています。
そしてこの巨石の存在が、現在の宍道町(しんじちょう)の地名由来となったのです。
北側の岩が長さ9m、幅2.5m、高さ4m以上、南側の岩が長さ6m、幅3m、高さ4.5mということで、風土記に記載されたサイズとは若干違います。もとは一つの岩だったものが、割れて徐々に隙間があいて2つになったのだとか。
巨石信仰を伝える石宮神社
女夫岩遺跡から北東に少し行ったところに石宮神社(いしのみやじんじゃ)があります。
ここには犬石という巨石が御神体として祀られています。
この神社も出雲風土記における宍道の由来を伝える御由緒を持っています。この犬石と、その前に鎮座する拝殿は南の方角を向いており、出雲風土記に記載された通りならば南の方角に猪の石が2つあるはずです。
ところが、この石宮神社の境内に猪石とされる巨石があったりして、この神社の境内で完結させようとするストーリーが濃厚です。。
大国主命の狩場マップ
ここまでのストーリーをまとめると、石宮神社に犬石があり、女夫岩遺跡に猪石があり、宇賀神社に犬垣があった。古代出雲では、宇賀のあたりに村があり、稲作を行っていた。
宇賀神社から北東に位置した山野に猪がいる狩場があったと推察されます。
宇賀神社には五穀豊穣の神である稲荷神が祀られ、また大国主命の妻であるアヤトヒメの伝説も残っています。
猪を捕り、お米を炊いて待っている妻の元に帰るという、古代の生活が見えてきますね。宇賀神社の周辺には稲わらを天日に干す、ハデ干しの風景が広がっています。
女夫岩遺跡へのアクセス
公共交通機関で行く事はできません。マイカーかレンタカーでお越しください。駐車場などもありませんが、遺跡入口の脇の僅かなエスケープゾーンに車を停めることができます。
遺跡入口に立つと、ハチやマムシにご注意くださいという恐ろしい看板が目に入ります。
この場所から見える通路はまさしく山道。
ですが、入口から遺跡までは5分程度で歩いて行けます。見た目よりは大分楽な道のりです。
遺跡の前にはお賽銭箱もあり、お札も販売されている様ですが、今回は売り切れていました。
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