【大和の神話】天照大神の岩戸隠れと神社神道の起源
天照大神が太陽の神であることは皆さんご存知ですよね!
私たち人間の生活には太陽の存在が欠かせません。でもそんな大事な大事な神様が引きこもっていた時期があるってご存知でした?
今回はそんな天照大神の岩戸隠れという神話についてご紹介します。
古事記・日本書紀に描かれた有名な神話です。
古事記を読んだことない人には意味が分からないかも知れませんが、この神話を知っておくと神社にある様々なアイテムの意味が分かりますよ!
神社好きの方は知ればぐっと、神社参拝が楽しくなります。ぜひ読んでみてください。
天照大神の岩戸隠れ
天照大神は弟である須佐之男命に愛想をつかしてしまいました。
色々と乱暴を働く須佐之男命をかばっていた天照大神は、いよいよ堪忍袋の緒が切れてしまったのです。
そしてついに天照大神は天岩戸に引きこもってしまいます。
神話に見る日本初の引きこもりです。
太陽神が岩戸に引きこもった事により、日本は闇に包まれました。そして日本中に様々な良くない事が起こり始めます。
八百万の神々は困り果て、知略の神である思兼神(おもいかねのかみ)に相談しました。何とかして天照大神にお出ましいただかなければなりません。
思兼神の考えた作戦とは!?
天照大神の関心を引くような大騒ぎをすること!
目標はいたってシンプル。しかし、世界を広く知っている三貴子の天照大神が気になるような騒ぎ方でなくてはなりません。そのために、色々な作戦が実行されました。
1.常世の長鳴き鳥を集めて鳴かせた
朝を告げる鶏のような役割でしょうか?闇から解放してくれる朝日の象徴である鳥に長鳴きをさせる事で、儀式の開始を宣言したのでしょう。
2.儀式に使う祭具を作った
鍛冶師の天津麻羅(あまつまら)と伊斯許理度売命(いしこりどめ)に八咫鏡(やたのかがみ)を作らせた。
玉祖命(たまのおや)に八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)を作らせた。
なんとこの時に三種の神器のうち2つが製造されているのです!!
3.占いとお祓いをした
天児屋命(あめのこやね)と布刀玉命(ふとだま)は鹿の骨とははかの木を使って占い(太占)を行った。
そして榊の枝に八咫鏡と八尺瓊勾玉と布を掛け、御幣として奉げた。
天児屋命が祝詞(のりと)を唱えた。
4.神楽を舞った
天宇受賣命(あめのうずめ)がトランス状態になり、舞い踊った。その激しい舞いは胸をさらけ出し、陰部も見えるほどだったと伝えられています。
この舞いに八百万の神々は大騒ぎ!その笑い声は高天原に鳴り轟いたと伝えられています。
ついに岩戸から出てきた天照大神
あまりの騒ぎに岩戸から顔を覗かせた天照大神。
天「私が籠っているというのに、なぜ大笑いしているのですか?」
すると天宇受賣命(あめのうずめ)が答えます。
宇「あなた様よりも尊い神様が現れたので、喜んでいたところです」
そこへ天児屋命(あめのこやね)と布刀玉命(ふとだま)が八咫鏡を差し出します。天照大神は鏡に映った自分を見ながら・・・
天「なんと!私とそっくりな神様ではないか!」
といってもう少し良く見ようと体を少し出したところ!
力自慢の神様である、天手力男神(あめのたぢからお)が天照大神の手を引っ張りました!あまりの力に岩戸から飛び出してしまった天照大神!
そして布刀玉命(ふとだま)が岩戸の入り口にしめ縄を張り、岩戸に再び入れないように結界を作ったのです。
そして、日本に昼が戻ったのでした。。
高天原を追放されたスサノオ
そもそもの原因をつくったスサノオ。神々の協議の結果、地上に降ろされる事が決定します。ただし罪穢れを祓うための儀式をし、罰を与えてからというおまけつき。
スサノオは自慢の髭を切られ、手足の爪を抜いて、地上へ降ろされました。
これから先、スサノオの物語は出雲の国で新たな展開を迎えることになります。
それはヤマタノオロチの討伐、稲田姫との結婚、大国主との出会いなど。
岩戸隠れ神話に見る神道の起源
三種の神器が登場する
三種の神器とは?
- 八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)
- 八咫鏡(やたのかがみ)
- 草薙剣(くさなぎのつるぎ)
草薙剣と言えば、出雲神話に登場する伝説の剣。須佐之男命がヤマタノオロチを退治した時に、オロチの尻尾から出てきたとあります。
※八岐大蛇神話についてはこちらをご参照ください
しかし、その他の二つの神器、つまり勾玉と鏡はこの岩戸隠れ神話の時に登場するのです。
勾玉を作っていた人たちは玉造部(たまつくりべ)という技術者集団で、出雲地方では玉造温泉のあたりに住んでいたとされます。この地には玉作湯神社があり、ご祭神はもちろん玉祖命(たまのおや)です。玉造という地名は全国各地にありますが、玉造部の本拠地がどこかは分かっていません。
出雲では三種の神器である八尺瓊勾玉は、出雲産の瑪瑙が使われたのだと伝えられていますが。。。
鏡を作っていた人たちは作鏡部(かがみづくりべ)という技術者集団で、本拠地は奈良県の鏡作坐天照御魂神社がある辺りと思われます。ここには伊斯許理度売命(いしこりどめ)が祀られています。
しかし、八咫鏡の製造よりも古い歴史を持つとされる鏡が存在しています。それは和歌山県の日前神宮・國懸神宮なのですが、イシコリドメが八咫鏡を作る前にこの日矛鏡(ひぼこのかがみ)を作ったという御由緒を持っています。これは何を意味しているのでしょうか・・・
神社神道の仕様が見える
岩戸隠れ神話に登場する様々なアイテムには現在の神社で見かけるものばかりですよね!少しまとめてみますね。
- 榊(さかき)
- 御幣(ごへい)
- しめ縄
- 祝詞(のりと)
- 神楽(かぐら)
これらのお供え物から作法まで、神話に根拠を持つのです。少なくとも古事記が編纂された奈良時代ごろには当たり前に使われていた事を示しています。すごい歴史ですよね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
この神話が示す意味は「太陽って大事だなぁ」という浅い意味から、「神社神道にとって大事なアイテムの由緒が紹介されている」あるいは、「神社神道に関わる有力豪族の祖先神が示されている」という深い意味を含んでいます。
この深い意味の部分はまた別の記事でご紹介しますね。
最後まで読んでくださってありがとうございます!
皆様に良いご縁が結ばれますように!
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