1. HOME
  2. ブログ
  3. 天前社・御向社・筑紫社|大国主命の妻たちを祀るお社

天前社・御向社・筑紫社|大国主命の妻たちを祀るお社

出雲大社の御本殿東側にある摂社。出雲大社の御本殿には垣根が二重に張り巡らされています。第一の垣根は八足門によって封じられており、その中には天前社と御向社、筑紫社の3つのお社が並んでいます。第二の垣根は御本殿を取り囲み、妻たちのお社と隔離されています。そしてこの垣根は楼門によって封じられており、出雲大社宮司しか中に入ることを許されません。どんなに特別な参拝客であっても、天皇陛下であっても中に入ることは許されません。中に入れるのは60年に一度の遷宮の時だけです。

その謎はまた次回触れるとして、天前社・御向社・筑紫社のお話に戻すと、このお社は全て大国主命の妻だという事ですが・・・不可思議な事がたくさんありすぎるのです。

 

天前社(あまさきのやしろ)

f:id:kunato38:20181128000702j:image

画像引用:出雲大社公式

別名 神魂伊能知比売神社かみむすびいのちひめのかみのやしろ

変わった名前のお社です。参拝者から見ると右手側、つまり下手に位置しているお社。
※神道では一般的に右手側を上手、左手側を下手と扱いますが、出雲大社は逆に左手側が上手となります

ご祭神

蚶貝比売命きさがいひめのみこと
蛤貝比売命うむがいひめのみこと

つまり貝の神様ですね。この二柱の女神は大国主命が因幡の国に妻問いに行かれた際、八十神に恨まれ命を狙われることになります。そして結局大国主命は命を落とすことになるのですが、母の願いを聞き届けた神魂(カミムスビ)によって派遣された二柱の女神は見事大国主命を蘇生させるのでした。

※詳しくはこちらの神話をご覧ください

 

 

御向社(みむかいのやしろ)

f:id:kunato38:20181128000541j:image

画像引用:出雲大社公式

別名 大神大后神社おおかみおおきさきのかみのやしろ

 

ご祭神

須勢理毘売命すせりひめのみこと

大国主命の正妻スセリヒメをお祀りしています。大国主命の事を「大神」と尊称でお呼びしていますので、大神大后となるのでしょう。須勢理姫とは須佐之男命(すさのお)の娘ですね。
※大国主命との出会いはこちらの神話

 

 

筑紫社(つくしのやしろ)

f:id:kunato38:20181128000441j:image

画像引用:出雲大社公式

別名 神魂御子神社かみむすびみこのかみのやしろ

ご祭神

多紀理姫たきりひめ

この神は天照大御神と須佐之男命の誓約によって生まれた女神様。古事記によると須佐之男命が持っていた十拳の剣から生まれた女神。多少語弊はあるかもしれませんが、須佐之男命の娘と言ってよいでしょう。

つまり、大国主命は須勢理姫だけでなく、もう一人須佐之男命の御子を娶っているのです。古事記では須勢理姫の誕生についても、誰が須勢理姫の母神なのかについても記述していません。須佐之男命の御子と言うこと以外は全て謎の神様です。何よりも謎なのが「神魂御子」というお社名です。

須佐之男命の御子である多紀理姫に、なぜ神魂の御子であると言っているのか?

 

さらに謎なのが。。

1番上手側に正妻の須勢理姫が祀られていないのは何故なのか!?

 

 

天前社・御向社・筑紫社の謎まとめ

正妻の御向社が上手に位置していない。大国主命に一番近い位置にいるという説明を持ち出すべきか?御本殿から参道を見た場合に、上手となるのは天前社になる。御本殿が大社造りである故に、大国主命は西を向いている。本当は筑紫社の方を向いているのだとしたら、多紀理姫が一番お気に入り?(邪推ですね)
神魂御子という表現と神魂命比売という表現はいずれも、カミムスビの娘という意味になるのですが、古事記に由来するところでは神魂御子は天前社の二柱の方です。須勢理姫の問題はひとまず置いといて・・・

 

 

神魂御子の謎を解くカギは朝山神社のご祭神名にあると予想しています。

朝山神社|神在月に八百万の神々が真っ先に訪れる神社とは?

 

朝山神社のご祭神は真玉着玉之邑日女命(またまつくたまむらひめのみこと)という謎のお名前ですが、神魂の御子だとはっきり出雲風土記には記載されています。「大国主命はこの姫を娶り、毎朝お通いになった。だからこの地を朝山という。」とも書かれ、御寵愛ぶりが垣間見えます。次回、そちらの神社の参拝を取材してみますね。

 

  1. KHAN ABD

    大国主命が遠征に遠征を繰り返し大八洲を統一し出雲に帰還した時に、あちこちで討伐した国々の姫と婚儀を結び子を成したと聞き及んでいた須勢理姫が鬼のような形相で待ち構えていて、大国主命の首に両の手を掛けて「本の妻は誰じゃ」と問い詰めた事から「本妻」と言う言葉が生まれたと言う伝承が古事記の中にあります。この時代から、やはり女性は強かったのですね。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

関連記事

初めての日本神話にオススメの本

神社に興味があるのに!
神社の御由緒書きを読んでも内容が分からない!

パワースポットとか大好きなのに
ネット検索するしか調べる術がない…

日本文化をもっと詳しく知りたい
と思ったら、神話にルーツがありそうだと分かった…

などと悩んでいる方!実は僕もそうだったんです!これからご紹介する本を読めば、神社に行くのがもっと楽しくなって、日本文化のルーツが分かります!

でも神話って読みにくい・・・そんな最初のハードルを越えやすい優秀な書籍です。
僕は今でも片手に読みながらブログを書いています。時には神社参拝に持っていく事も!
神社のいろはを勉強するならまずは読んで欲しい。。そんなお勧めの書籍たちをご紹介します!


古事記の入門書

皇室の旧宮家である、竹田恒泰先生の書籍。古事記には非常にたくさんの神様が出てきて、全部覚えようとすると挫折します。。実は古事記って再び登場する神はほとんどないんです。 この本は覚えた方がいい神様とそうではない神様を見分ける目印がついているというスグレモノ! さらに皇室側の視点で見た読解がすごく面白い!そして丁寧な解説!初めて古事記を読むなら、この本が絶対おすすめ!


日本書紀の入門書

神話や和歌が少ない日本書紀は、読み進めるのがつまらなくなりがち。だって日本書紀って年表を読んでいるような気になる記述なんです。 でもこの本なら漫画表記と文字表記がペアになっているという画期的な工夫がなされています! 文字だけ読みたい人にも、漫画だけ読みたい人にも一冊で対応可能!しかも、どっちを読んでもある程度内容がつかめてしまうという・・・初めて日本書紀読むなら絶対これ!


超高速で理解する古事記

note
超高速で理解する古事記|note

神様の名前を読む自信が無い!
神話を読む自信が無い!
そもそも本を1冊全部読めた試しがない!
だいたいどんな話なのか分かれば十分という方!
これなら超高速で古事記を理解し、10分あれば古事記の概要を理解し、天皇や神社について大雑把に理解できます。
時間のない方にもおすすめです!
読んでみる

神社参拝に便利な御朱印帳


出雲の神社を歩くなら!
御朱印帳を持参して思い出を残しましょう!
コロナ禍でも、神社参拝ならソーシャルディスタンスを保ってひっそりと楽しめる!日本人ならではの旅行を楽しみましょう!