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浮洲神社|斐伊川の流れに翻弄された神社

出雲市平田町灘分ひらたちょうなだぶん町に鎮座する浮洲うきす神社。その名の通り水辺にあり、すぐ南側に斐伊川が流れています。さらに灘分という地名は、流れが速い場所だったことを示しています。周辺の神社と合わせて読み解くと、古代の地図が蘇ってきて面白いのです。

浮洲神社のご由緒

創建は明応三年(1494)で、出雲大社の御分霊を祀ったとのこと。斐伊川の流れが変わるたびに鎮座地が変わり、なんと5回も鎮座地を変えているそうです。

斐伊川は元々、奥出雲に源流を持ち、斐川平野を西に向かってカーブし、神西湖(神門水海)に注いでいました。ところが中世、何度も斐川平野で洪水を引き起こし、その原因は奥出雲でのたたら製鉄によって大量の砂が斐川平野に流れ込んだことによります。これは斐川平野の大地を形成したことにもつながりますが。

江戸時代にたたら製鉄を増産した松江藩は、洪水対策として斐伊川の流れを東側(宍道湖側)に変えるという一大事業を実行します。それによって斐川平野の東側の土地はさらに砂が堆積し、広い平野を形成していきました。

浮洲神社はおそらく中世には宍道湖に浮かぶ小島だったのでしょうが、徐々に土地が形成されていく時代に合わせて、場所を変えながら現在地に落ち着いたのでしょう。浮洲神社から斐伊川を挟んで南側には、中洲や沖洲といった地名が存在し、この辺りも水の中にあって、砂が堆積している小島だったことがうかがえます。

海童神社|古代は小島?海の神様を祀る小さな神社 – 出雲大社の歩き方 (izumo-enmusubi.com)

浮洲神社の御祭神

大己貴命おおなむちのみこと

言わずと知れた出雲大社の御祭神、オオクニヌシの御幼名ですね。出雲大社からの御分霊を祀ったとありますので、その通りの御祭神でした。

浮洲神社の境内

御本殿

社殿は大社造りで千木は男千木、御神紋は二十亀甲に剣花菱、方角はやや南東を向いています。

南東の方角には若宮神社があり、同じく出雲大社の御分霊を祀っています。

神社の西側には旅伏山が綺麗に見えます。

鷺神社

御祭神不明

名前の分からない摂社

御祭神不明

名前の分からない摂社

御祭神不明

惣荒神

浮洲神社へのアクセス

一畑電鉄 雲州平田駅から車で4分。神社には駐車場がありませんので路上駐車で参拝するほかありません。隣に民家がありますので、くれぐれもご迷惑にならないようにご注意ください。

まとめ

斐伊川の流れが変わるたびに5回も鎮座地が変わった神社。古代には宍道湖の中に浮かぶ神聖な場所だったのかもしれません。出雲大社の御分霊を祀る前の、原始的な祭祀の様子を想像してしまいます。

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