大年神社|鬼を成敗したスサノオの息子神
島根県大田市にある大年神社。この辺りは大屋町鬼村と呼ばれ、その大屋とは大屋津姫に由来することが、この近くの大屋姫命神社に伝えられています。しかし、この大字名にある「鬼村」という名の由来はこの大年神社の御由緒に伝えられているのです。
大年神社の御祭神
大年幸魂大神
合祀 抓津姫命
オオトシといえば古事記ではスサノオの息子とされていますが、このお名前を読むと「サキミタマ」と入っています。
神道では一霊四魂といって、人間の魂を幸魂・和魂・奇魂・荒魂の四つから成ると説明しています。それぞれ愛・親・智・勇の力であり、愛とは人を愛し育てる力、親は人と親しく交わる力、智は物事を観察・分析・悟る力、勇は前に進む力を表すものです。
つまり大年幸魂とはオオトシの愛のエネルギーの部分を祀っていると考えられます。年神として正月に山から下りてくるなど、縁起や五穀豊穣のために祀られることが大半の神様ですが、わざわざ幸魂だけをお祀りしているのは珍しいですね。
合祀されている抓津姫命は境外地にあった神社の御祭神とのこと。日本書紀ではスサノオの娘として記載されていますが、古事記には登場しない神です。
大年神社の御由緒
勧請年月日は不詳だが、社伝によるとオオトシはこの里の開祖伸。この地を鬼村と呼ぶのは、昔この辺りが禍神や荒ぶる神の巣窟だったため、大年の神が平定されたことに由来するという。
荒くれ者や、土着の豪族を中央政権が成敗するとき、彼らの事を鬼として伝えるのは為政者のやり口。この伝承もその様な由来だと考えられます。
社伝は大社造だが、千木や御神紋はない。方角は西を向いているが、その先には大屋姫命神社が!?
近くには鬼岩という巨石がある。本当に鬼のように怖い形相をしている。
空いた穴の中にはたくさんの仏様が祀られており、意外とほっこりする。実はこのあたりは2,000万年前に海底火山が噴火した火山灰で出来ていて、風による浸食で穴が開いたものだという。どちらかというと「鬼村」という名前が先で、鬼岩が寄せていった名前なのかもしれない。
大年神社へのアクセス
〒694-0032 島根県大田市 大屋町鬼村681番地
JR山陰本線 五十猛駅から車で約12分です。駐車場はありますが、入り口で少し迷います。
「え!?ここ入れるの?」となりますがご安心ください。
入った先には駐車場がありました。
まとめ
スサノオの息子であるオオトシの幸魂を祀った神社。この神社が見つめる先には大屋姫命神社があるのですが、そういえば大屋姫命神社は日本書紀と五十猛神話によって、スサノオの御子たち(イソタケル・オオヤツヒメ・ツマツヒメ)が降臨したことを伝えていましたね。この辺り一帯はスサノオ伝説が豊富です。鬼にまつわる伝説も色々あるのでしょうが、これから集めてみたいと思います。
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