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求院八幡宮|白鳥を捕まえた場所!

出雲市斐川町求院ぐいに鎮座する八幡宮。「ぐい」という特殊な読み方をするこの地区には、白鳥伝説があるのです。「ぐい」とは「くぐい」のことであり、古語で白鳥を示す言葉なのです。ここには生まれながらに言葉を発しなかったという、第11代垂仁天皇の皇子、ホムチワケ皇子に関わる白鳥伝説があるのです。

 

 

求院八幡宮のご由緒

境内にある鵠神社

 

ホムチワケと白鳥伝説

第11代垂仁天皇の従弟(サホヒコ)とその妹であり垂仁天皇のお妃(サホヒメ)が結託してクーデターを起こします。

サホヒコは妹に「天皇を暗殺しろ」と命じます。しかしサホヒメは結局、垂仁天皇を殺すことはできず、垂仁天皇の御子を連れて兄と逃亡することを選びました。

謀反を起こした罪は重く、最後は逃げ込んだ屋敷に火が放たれます。サホヒメは御子を垂仁天皇に託すと、自らは火の放たれた屋敷に戻り、兄と死ぬことを選びます。垂仁天皇夫婦は紅蓮の炎に分かたれ、その御子には「ホムチワケ」と名付けられたのでした。「ホム」とはほむらに通じると考えられます。

この「ホムチワケ」はなぜか言葉を話しません。そしてついに大人になっても言葉を発することができないままなのでした。

 

皇子はある日、空を飛ぶ鳥を見て口をパクパクなさいました。垂仁天皇は驚かれ、家臣に鳥を捕まえるように命じられます。

 

古事記では家臣が苦労の末に鳥を捕まえますが、その鳥を見た本牟智和気ほむちわけは言葉を話す事は無かったのでした。しかし、日本書紀では天皇の家臣が白鳥を追いかけ、この出雲の地で捕まえると、ついに皇子は言葉を発したとしています。

 

求院八幡宮に伝わる白鳥伝説

30歳になられても言葉を発しなかった本牟智和気ほむちわけ皇子。ある日、宮殿をお立ちになっていると鵠が大空を飛んできた。すると皇子が「あれは何だ」と言われた。皇子が言葉を発したことを大変お喜びになった天皇は、側近にあの鵠を捉えて献上するよう命ぜられた。側近は鵠を追い訪ね、出雲に行ってようやく捕らえた。その鳥を手にされた皇子はついにものをいう事ができた。

鵠が捕らえられる前に飛び越えた川を鳥越川といい、捕らえた地は「くぐい」が「ぐい」になり、求院という地名になったと言われている。

 

斐川町に残るホムチワケ伝説

この本牟智和気ほむちわけ皇子が言葉を発するまでの流れは古事記と日本書紀で違っています。日本書紀由来だと、この求院地区で皇子は言葉を発して、めでたしめでたしという事になります。

古事記では白鳥を捕まえても言葉を発しなかったので、夕食をお出ししていると出雲大社の方角をご覧になって言葉を発せられたので、大国主命をお祀りしたところ言葉を発せられたとしている。古事記由来だと出雲の祟りでしたというオチになりそう。

その夕食をお出しした場所というのは、曽枳能夜そきのや神社という場所に比定されています。

曽枳能夜神社|出雲大神を祀る曽の宮とホムチワケ伝説

 

求院八幡宮の起源を示す記載は神社境内に見えず、出雲風土記にもその社名が見えません。江戸時代に書かれた雲陽誌には求院八幡宮と書かれているため、少なくとも江戸時代には存在が認められます。口伝えには1192年の創建と聞くところによると、社殿自体は武家の信仰、おそらく源氏が氏神として祀った八幡神が起源ではないかと思われます。

鵠の地名が先にあり、後に八幡神が主催神となった。鵠神社に客神社と書かれているところを見ると、もともとは別々の地に祀られていたのかもしれません。

 

求院八幡宮のご祭神

誉田別命ほんだわけのみこと

息長足姫命おきながたらしひめのみこと

 

別名では応神天皇とその母君 神功皇后とお呼びし、いわゆる八幡神とされる神様です。

 

 

求院八幡宮の境内

御本殿

社殿は流造で、千木は無く、御神紋は二重亀甲に違え矢。方角は南を向いています。

 

鵠神社

本牟智和気命ほむちわけのみこと

 

社名にはカッコ書きで客神社とある。

 

浮島神社

伊邪那美命いざなみのみこと

伊邪那岐命いざなぎのみこと

天照皇御神あまてらすすめらみかみ

 

稲荷神社・木山神社

稲荷神社のご祭神

稲倉魂命うかのみたまのみこと

伊奴不須眞彦大狭別命いぬぶすまひこおおさわけのみこと

 

「アカブスマイヌオオスミヒコサワケ」なら、風土記に書かれたオミズヌの息子。古事記と照らし合わせたとき、このお方はオオクニヌシの父上か叔父上にあたる訳ですが。ここに書かれているお名前は少し違っている。別の神様なのか・・・?

 

木山神社のご祭神

吉備津彦命きびつひこのみこと

素戔嗚尊すさのおのみこと

 

どちらのお社も稲荷神社である証、キツネ穴が開いていました。

 

寶殿神社

武内宿祢たけうちのすくね

少名毘古那神すくなびこなのかみ

 

ほうでん神社という珍しい名前ですね。

 

石寶殿

菅原道真すがわらみちざね

 

こちらはせきほうでん。寶という字は宝という字と同じ意味らしい。意味深なお社だなぁ。。

 

荒神社

 

天照大神社日社

 

 

求院八幡宮へのアクセス

一畑電鉄 大津町駅から車で約8分。八幡宮の鳥居横に車2台分程度の駐車場があります。 周辺は民家ばかりですので、ご迷惑とならないように配慮ください。

 

境内には遊具があり、周辺の幼稚園・保育園の子供たちが遠足に来ることが多いです。通行には十分ご注意くださいね。

 

 

おまけ

だれもの力で!!

 

がいになまっちょーで!!

(※すごく訛っているね)

 

こういう斐川のノリ。大好き!!

 

 

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