【神奈備山】その名前に隠された本当の意味とは!?
出雲には神奈備山、神名備山または神名火山と称する山がある。読み方はいずれも「かんなびやま」です。
神の名の山と書かれると、一見して「神社がある山」あるいは「お祀りごとをする山」というイメージに見えるかもしれませんね。
実は違います。
「なびる」とは古い言葉で
「お隠れになる」という意味です。
つまりカンナビとは神様がお隠れになる、お墓のような、死後のお祀りの場所だったのです。
カンナビの特徴
神奈備山に選ばれる山には共通した特徴があります。
それは綺麗な三角形であること。
これは諸説ありますが、出雲の古い言い伝えでは古代の龍神信仰が関係しているとと伝えられています。
つまり、龍または蛇が
とぐろを巻いている姿を連想したのでしょう。
この名残はカンナビ山だけでなく、神社の境内でも見ることができます。砂山が綺麗な三角形に盛られている事があるのですが、決して子供のいたずらで作られたものではありませんよ。
決してこの砂山にはふざけて登ったりしないようにしてくださいね。
古代出雲のお葬式
王家の方が亡くなると、いえ、亡くなりそうになるとその家の人たちは面会することを忌み嫌いました。
肉体とはこの世での借り物であり、魂にこそ価値がある、魂はもっと永い時間を生きれるものだと信じていたのでしょう。
肉体の死が近づくと、その魂をどのように神聖なところへ導くのかを考えたのだと思います。
そしてその肉体が完全に機能を停止すると、故人は口に漏斗を差し込まれました。
漏斗からは大量の朱が流し込まれ、朱は血管のすみずみにまでいきわたると、死臭を放つことなく、腐敗の速度も緩やかになりました。
故人は次に膝を抱えた姿勢にされ、篭に納められると、神名備山に連れて行かれます。
そして風葬にされたのです。
3年の歳月が過ぎ、肉体が完全に白骨化した折をみて、お迎えに行きます。
遺った骨は綺麗に磨かれ、丁重にお祀りされたのだといいます。
風葬の場所には目印がある
故人が篭に入れられ風葬にされた場所には目印が残ります。個人を入れた篭は木の陰に隠されたのですが、その隠した場所の目印として木の周りに垣根を巡らせました。
そしてその木には個人の魂が宿る、神が宿ると考えられ、「神籬(ひもろぎ)」と呼ばれるようになったのです。
そしてこれが神社の境内に見られる、
「御神木(ごしんぼく)」の起源
でもあるのです。
神籬に選ばれた檜
神籬に選ばれる木は「檜(ひのき)」でした。
以前、「おむすび」という言葉の由来について同じような事を書きましたが、
檜とは別名「霊の木」とも書きます。
木に詳しい方はお分かりかと思いますが、檜というのは丁寧に手入れをすれば永遠に腐りません。
神社の建築資材として檜が用いられるのはそのためです。遷宮の時に解体した古い社殿の資材は、丁寧に鉋(かんな)をかけると、また資材として使えるのです。
特に大きな神社の遷宮で発生した古材は、近くの神社の遷宮で再利用されるなど、有効活用されるのです。
檜は永遠の命の象徴、神の魂が宿り永遠を生きると信じられたのでしょう。
現代のカンナビ山
現代では殆どの神奈備山が名前を変更されてしまいました。
出雲地方では大山、仏教山などが神奈備山です。関西では大神山ですね。
死に関わるような名前が付いている山は、もしかすると古代の神名備山かもしれません。
山の形を見たり、古代の斎場跡や、神籬がないかなど痕跡を探してみると案外見つかるかもしれませんね。
そうした山は神聖な場所ですので、決してふざけたり、穢れた行為をお勧めしません。
カンナビ山は山自体が御神体と考えられる場合もあります。祖先の魂に失礼がないように振る舞いたいものです。
最後まで読んでくださってありがとうございます!
皆様に良いご縁が結ばれますように!
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