【因幡の白兎】大国主命と八上姫のご縁を予言!?〜前編〜
出雲大社の境内にも沢山いる、あの兎。
実は凄い縁結びのパワーを秘めた兎なんです。
今回はそんな兎の神話をお届けします。
大国主命と八十神の旅
むかーしむかし。出雲国に大国主命という神様がいました。
大国主命は沢山の兄たちとともに旅をしていました。
絶世の美女と謳われる八上姫(やがみひめ)に会いに行くため、多くの兄の八十神(やそがみ)と因幡(いなば)の国を目指していたのでした。
大国主命は八十神の荷物持ち係です。
大きな袋を背負って、八十神の後を追います。
荷物が重いので兄たちとは随分と離れてしまいました。
因幡の国の砂浜に着いた時、一羽の兎が泣いていました。
よく見ると身体中の毛がむしられ、丸裸になった皮膚は真っ赤にただれています。
先に兎に出会ったのは八十神たち。白兎になぜ泣いているのか理由を聞きました。
因幡の白兎が泣いていた理由
白兎はこれまでの経緯を話し始めました。
海の向こうに浮かぶ沖ノ島に渡りたいと思って、どうやって渡ろうか知恵を巡らせていた兎。
サメを騙して利用する事を思いついたのです。近くにいたサメにこう言いました。
兎「俺たち兎と君たち鮫では、どちらが数が多いと思う?」
鮫「俺たち鮫の方が多いに決まっている」
兎「それなら全員集めてみなよ!俺が数えてやろう!」
鮫「望むところだ!」
こうして鮫の群れが砂浜から沖ノ島までズラリと並ぶと、兎は鮫の頭を飛び越えながらその数を数えました。
鮫を数えるのを建前として、沖ノ島で用事を済ませた兎は、もう一度数えると言って砂浜側に帰る方向で鮫を飛び越えていきます。
もう少しで砂浜に降り立つというところで、兎は大声で得意げに言いました。
兎「なんと愚かな鮫よ!利用されているのも知らずに!俺は沖ノ島に行きたかっただけなのさ!」
すると、兎は激昂した鮫の群れに身ぐるみを剥がされ、白い羽はことごとくむしられ、ボロボロになってしまったのです。
八十神と白兎
最初に兎を見つけたのは八十神たち。兎の話を聴くと、イタズラ心が起きてしまいました。
八十神「大変だったね。早く元の毛が生える方法を教えてあげよう。
海の水で身体を洗って、岬で風に当たっていなさい。しばらくすれば傷も癒えるでしょう」
兎は言われた通りにして、海の水で身体を洗って、風に当たっていました。
ところが傷は癒えるどころか、海の塩が傷口に染みて、さらに風に当たるとその傷がじんじんと痛みます。
あまりの痛さに今度は泣き叫んでいると、そこに大国主命がやって来ました。
大国主命と白兎
白兎からこれまでの経緯を聴くと、大国主命は言いました。
大国主命「河の水で身体を洗って、蒲(がま)の草を取って来て地面に敷き詰め、その上に寝転がって休みなさい。」
兎は言われた通りにして、河の水で身体を洗って、蒲の草の上に寝転がって休みました。
すると、みるみる内に傷は癒え、元の綺麗な白い羽を取り戻したのです。
白兎は大国主命に大変感謝し、とても重要な予言をします。
白兎「これからお会いになる八上姫と結ばれるのは八十神ではなく、大国主命です。」
そして、白兎の予言通り大国主命と八上姫は結ばれる事になるのです。
まとめ
イタズラをしてはいけないと言う様な教訓めいたお話かと思いきや、突如として予言を繰り出す兎。
大国主命の医療に精通した的確な指示など、物語は色々な要素を含んでいます。
そしてこの物語はここで終わりません。
このお話だけだと
白兎はご縁結びの神様!
大国主命は優しくて聡明な神様!
という話に見えますよね。
次回、この続きは意外な方向へ・・・
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